通級指導で、私が実践してきた個別指導 ― その子に合わせて、支援を組み立てる ―

いろ先生

通級の個別指導は「オーダーメイド」

 

「通級では、実際にどんなことをしているの?」
そう聞かれることがあります。

通級指導には、個別指導と小集団指導がありますが、
今回は私が担当してきた「個別指導」についてお話しします。

※指導内容や形態は、自治体や学校によって異なります。

ここでお伝えするのは、あくまで私がこれまでの実践の中で行ってきたことです。
ひとつの参考として読んでいただけたらと思います。

 

個別指導は、基本的に教員と子どもが一対一。
そして私が何より大切にしてきたのは、
「その子に合わせて支援を組み立てること」です。

同じ学年でも、困りごとは違う。
得意なことも、苦手なことも、伸び方も違う。
だから、同じ指導は二つとありません。

 

苦手だけを直す場所ではない

指導内容は、個別指導計画に基づいて考えます。
でも、苦手なことだけを練習するわけではありません。
得意なことも取り入れながら、
「できる」を土台にして広げていく。
自信を削る時間ではなく、
自信を積み重ねる時間にすることを意識しています。

 

実際に取り組んできたこと

例えば、こんな内容です。

・ビジョントレーニング(迷路、点つなぎなど)
・集中力を育てるトレーニング
・感情のコントロールの学習
・語彙を増やす学習
・聞く力を育てるトレーニング

一見「練習」に見えることも、
できるだけ楽しく取り組めるよう工夫します。
やらされる時間ではなく、
「もう一回やりたい」と思える時間にする。
それが、継続につながります。

 

“めあて”で育てる主体性

どんな課題でも、必ず「めあて」を立てます。
今日は何を意識するのか。
どこをがんばるのか。
めあてを持つことで、
子どもは“やらされる側”から“取り組む側”へ変わっていきます。

「わからない」と言える力を育てる

個別指導で特に大切にしているのが、
「伝える力」です。
わからないこと
できないこと
困っていること
それを言葉で伝えられるようにします。
最初は話型を提示します。
「もう一回教えてください」
「ここが分かりません」
「少し待ってください」
はじめはまねでもいい。
でも、自分の言葉で伝えられたときだけ応じます。
そして、伝えられたら必ずほめます。
「言えたこと」そのものが、大きな成長だからです。

 

できた瞬間を逃さない

できたことは、その場ですぐ、具体的にほめます。
「最後まで座れていたね」
「自分から聞けたね」
「めあてを意識していたね」
あいまいなほめ言葉ではなく、
行動に焦点を当てて伝えます。
小さな成功体験の積み重ねが、
子どもの土台になります。

 

家庭でもできる、3つの視点

これは通級だけの特別な方法ではありません。
家庭でもできることがあります。

・今日のめあてを一緒に決める
・できたことをその場で具体的にほめる
・「わからない」と言えたときに受け止める
特別な教材は必要ありません。

関わり方が変わると、
子どもの安心感は大きく変わります。

通級の個別指導は、
魔法の時間ではありません。
その子の今を丁寧に見つめ、
できる形に整え、
少しずつ前に進む時間です。

 

一人ひとりに合わせて組み立てる支援。
それが、私が大切にしてきた個別指導です。

目の前の子どもが
「できた」と思える瞬間を、ひとつでも増やしたい。
その積み重ねが、
学校での安心や、自信につながっていくと信じて、
私は支援を続けてきました。

 

次回は、小集団指導で意識していることについてもお話ししたいと思います。