通級指導で、私が実践してきた小集団指導 ― 集団の中で力を育てる ―

いろ先生

前回は、個別指導についてお話ししました。

今回はその続きとして、
私が実践してきた「小集団指導」についてお伝えします。

※指導内容や形態は、自治体や学校によって異なります。
ここでお伝えするのは、あくまで私のこれまでの実践です。
ひとつの参考として読んでいただけたらと思います。

 

通級の目標は「在籍学級での適応」

通級指導の目標は、
通級の教室でうまく過ごせるようになることではありません。

自分が所属する学級で、
安心して、前向きに生活できるようになること。

そのための力を育てる場所が、通級です。

そしてその力を育てるために、
小集団での指導はとても大切だと感じています。

 

小集団で育てる力

小集団指導では、
課題が近い子どもたちでグループを組みます。
異学年で構成することもあります。

主に行うのは、

・コミュニケーション
・対人関係
・集団参加

といった力を育てる指導です。

ソーシャルスキルトレーニングを用いることも多く、
活動を通して力を伸ばしていきます。

 

例えば、

・ルールを守って活動に参加する
・友達と協力して取り組む
・相手の気持ちを考えて行動する
・勝ち負けのある活動で気持ちをコントロールする

といったことを、実際の活動の中で練習します。

 

チームで行う指導

小集団指導は、教員もチームで指導を行います。

前に立って全体に指導する教員。
その教員をフォローしながら、子どもたちの様子を見て
必要に応じて支援を行う教員。

事前に打ち合わせを行い、
同じ目標に向かって指導できるようにしています。

子どもたちを見る目線をそろえることも、
大切な支援の一つです。

 

集団の中で学ぶということ

 

個別指導と大きく違うのは、
「集団の中で学ぶ」という点です。

 

・教員の話を集団の中で聞き、理解する

・順番を待つ

・発言や発表をする

・人の話を遮らない

・ルールを守る

こうした力は、
実際に集団の中で練習してこそ身についていきます。

人の話を遮らないようにするために、
あえて「質問タイム」を設け、
質問はその時間にするようにしています。

 

伝え方にも工夫を

話すときは、短く、わかりやすく。

 

聴覚情報だけに頼らず、
黒板に書いたり、ICTを活用したりして
視覚情報でも示すようにしています。

 

「聞いて理解する」ことが苦手な子も、
視覚的な手がかりがあることで安心できます。

 

活動は“楽しく、でも学びは本気”

活動では、

・ウノ
・ジェンガ
・すごろく
・フラフープくぐり
・ボッチャ
・転がしドッチボール

など、ゲームや運動あそびを取り入れることも多くあります。

 

楽しい活動の中だからこそ、
本当の姿が見えます。

 

そしてその中で、
ルール・協力・気持ちのコントロールを練習していきます。

 

めあてと振り返り

小集団指導でも、
必ず活動の「めあて」を示します。

今日は何を意識するのか。

活動後には、子どもたちに振り返りを発表してもらいます。

その後、教員からも評価を伝えます。

「何ができたのか」を言葉にすることで、
学びが定着していきます。

実態に応じて、
個別指導の時間に小集団の振り返りをする子もいます。

集団での経験を、
一人の時間で整理することも大切だからです。

 

すぐに、具体的にほめる

小集団指導でも大事にしているのは、
「できた瞬間を逃さないこと」。

・待てたね
・最後まで聞けたね
・やさしい言い方だったね

その場ですぐ、具体的に伝えます。

小さな成功体験が、
在籍学級での自信につながっていくからです。

 

家庭にもつながる視点

集団の力は、学校だけで育つものではありません。

家庭でも、
・順番を守る
・相手の話を最後まで聞く
・負けたときの気持ちを言葉にする

そんな小さな積み重ねが、
集団での安心につながります。

通級の小集団指導は、
“うまくさせる”場所ではなく、
“練習できる”場所です。

在籍学級で安心して過ごせるように。

その日の活動の中で、
ひとつでも「できた」を増やしたい。

そんな思いで、
私は小集団指導を行ってきました。